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2018.04.28
日本の散骨の歴史 5.散骨という選択と法解釈
平成3年(1991年)、市民運動団体の「葬送の自由をすすめる会」が発足し、海や山への散骨を「自然葬」と名付け、同年10月に第一回目の海洋散骨による自然葬を相模灘で行いました。この第一回目の自然葬はマスコミでも取り上げられ大きな反響がありました。当時の法務省は、マスコミ関係からの問い合わせに対し刑法190条で規定する遺骨遺棄罪と散骨との関係について「この規定は、社会的習俗としての宗教的感情などを保護するのが目的だから、葬送のための祭祀で、節度を持って行われる限り問題はない」という趣旨の見解を初めて明らかにしました。
また、関連するもうひとつの法律「墓地、埋葬等に関する法律」について、当時の厚生省は「この法律は、もともと土葬を対象にしていて、遺骨を海や山に撒くといった葬法は想定しておらず対象外である」と述べました。
こうした国の見解が明らかになったことにより、これまで違法だと考えられていた散骨が死者をともらう祭祀として相当の節度をもって行うならば違法ではないという法解釈が定着するきっかけとなりました。
現在は、有名人をはじめとする多くの人が散骨を行うことになり、散骨に対する社会的合意ができつつあります。