終活コラム

  • 日本の散骨の歴史 5.散骨という選択と法解釈

    平成3年(1991年)、市民運動団体の「葬送の自由をすすめる会」が発足し、海や山への散骨を「自然葬」と名付け、同年10月に第一回目の海洋散骨による自然葬を相模灘で行いました。この第一回目の自然葬はマスコミでも取り上げられ大きな反響がありました。当時の法務省は、マスコミ関係からの問い合わせに対し刑法190条で規定する遺骨遺棄罪と散骨との関係について「この規定は、社会的習俗としての宗教的感情などを保護するのが目的だから、葬送のための祭祀で、節度を持って行われる限り問題はない」という趣旨の見解を初めて明らかにしました。
    また、関連するもうひとつの法律「墓地、埋葬等に関する法律」について、当時の厚生省は「この法律は、もともと土葬を対象にしていて、遺骨を海や山に撒くといった葬法は想定しておらず対象外である」と述べました。
    こうした国の見解が明らかになったことにより、これまで違法だと考えられていた散骨が死者をともらう祭祀として相当の節度をもって行うならば違法ではないという法解釈が定着するきっかけとなりました。
    現在は、有名人をはじめとする多くの人が散骨を行うことになり、散骨に対する社会的合意ができつつあります。

小松FP事務所代表小松俊一

青山学院大学経営学部卒業後、リクルートグループ会社で10年間求人広告、社員教育の営業に携わり社長賞など受賞。その後外資系保険会社の日本法人の設立メンバーして東京西支社で人材採用や教育を担当し、40歳で起業。上場企業向け広報・IR事業を展開する傍ら、個人向けコンサルティングも行ている。

所有する主な資格

  • ファイナンシャルプランナー
  • 小型船舶免許1級
  • 終活カウンセラー
    (一般社団法人 終活カウンセラー協会)
  • 海洋散骨アドバイザー
    (一般社団法人 日本海洋散骨協会)